24時間換気システムってなに? 戸建におすすめなのは「第一種換気」?それとも「第三種換気」?
2023.04.23
現在では一戸建てのみならず全ての住宅に「24時間換気システム」の設置が法律で義務付けられています。
これからお家の購入や建築を考えていくお客様からも「換気システムの種類には3種類あって、どれが良いかが分からない…」といった声をよく聞きます。
そこで、今回は24時間換気システムの種類やそれぞれのメリット・デメリット等を紹介していきます。
目次
そもそも24時間換気システムってなに?
換気システムとは、「窓を開けずに換気装置を使って強制的に空気の入れ替えができる仕組み」のことを言います。
もっと分かりやすく言うと名前の通り、24時間つけっぱなしで換気するシステムのことです。
「換気なんて窓を開けておけばいいじゃないの?」なんて思われるかもしれませんが、建築基準法という法律にもとづいて常に計画的な換気を行うことが義務付けられております。
換気システム設置義務付けの背景
近年、住宅の気密性が高まったことにより建築材料から出る化学物質がもととなる「シックハウス症候群」が問題となり、その対策として、20年前の2003年以降の住宅はすべて計画的に換気を行う装置を義務付けるようになりました。
計画的な換気は、1時間に家の空気の半分を排気&給気しなければなりません。
つまり2時間で家中の空気を全部入れ換える事が必要となっています。
計画的に換気を行うことで、室内の空気を清潔に保つことができ、さらに空気を循環させることにより結露やカビの発生をある程度おさえることもできます。
換気システムの種類は大きく分けて3種類
24時間換気システムの換気形式は主に第一種換気~第三種換気までの3つのタイプがあります。簡単に言うと、室内に空気を入れる時と出す時をそれぞれ機械的に行うのか自然に行うかに違いがあります。
主に住宅だと「第一種換気」と「第三種換気」がよく採用されています。
「第一種換気」は空気の出し入れをどちらも機械で強制的に行います。
「第三種換気」は空気を室内に入れるときは自然に、室外へ出す時は機械で行います。
ちなみに「第二種換気」は第三種換気と逆で、室内に入れるときは機械で、室外へ出すときは自然に行います。
「第二種換気」は住宅であまり使用されない?!
先ほどお伝えした通り、「第二種換気」は室内に入れる空気を機械で行います。
機械的に空気を取り込むことにより外部より室内の気圧が高くなるためドアを開けた際などに外から塵や埃が入り込むのを防ぎ室内を清潔に保ちます。
この特性を活かし病院の無菌室や工場のクリーンルームなどに使用されています。
住宅で使用すると気密の低い建物の場合、室内の湿気を含んだ空気が壁内に入り込み、冬の寒い時期には結露が発生し家を傷める要因となるため、住宅で用いられることはほとんどありません。
一種換気・三種換気それぞれのメリット・デメリット
第一種換気のメリット・デメリット
一番のメリットは熱交換換気装置を備えていることで、取り込んだ外気を室温の近づけ給気することが可能な点です。
住宅の換気による熱損失は約30%と言われており、せっかく断熱性を上げ外の気温の影響を受けにくい住宅にしても「第三種換気」のような自然換気だと暑いもしくは寒い外気が入ってきてしまいます。
そこを熱損失の少ない熱交換換気にすることで室温を快適に保ちエネルギーを無駄にすることなく換気を行うことができます。
排気するときの空気を上手に使用し気温調整を行ったうえで室内に給気を行えるので省エネ効果につながります。
寒い時期や暑い時期など外気温と室内の温度に差がある場合は特にメリットを感じることができます。
また、給気時にフィルターを通すことで外気の花粉や塵などを取り除き新鮮で綺麗な空気を取り込むことが可能なのでアレルギーの原因となる花粉や塵などが気になる方には非常にお勧めです。
デメリットとしては、設置導入コストが第三種換気に比べると割高になります。
またフィルターの清掃や定期的な交換も必要となりますので手間とランニングコストも発生します。
最近では第一種換気のデメリットとなるダクト式の導入コストやダクト内の清掃が不要となるダクトレスの第一種換気システムを採用している住宅メーカーもございます。
ダクト式と比べるとコストを抑えることが出来、ダクトがないのでダクト内が汚れる心配もありません。
ただし、居室毎に換気システムを設置する必要があるためフィルターの掃除や交換はやや手間になります。
第三種換気のメリット・デメリット
第三種換気のメリットは第一種換気に比べ設置が簡単なため費用を抑えて導入することが可能となります。
さらに、フィルターの掃除や交換といったメンテナンスにかかる費用や時間、換気ファンにかかる月々の電気料金といったコストも抑えられます。
コストが抑えられるため、ローコスト系の住宅会社はほとんど第三種換気を採用しています。
デメリットは熱交換システムがないので外気の影響を受けやすいことです。
そのため、第一種換気を比べると省エネ性能は劣ることになります。
導入コストだけでなく、快適性や冷暖房の電気代も考える必要性あり
第一種換気は第三種換気と比べると導入コストや換気システム自体の電気代も割高になります。ただし、第三種換気の場合は熱交換システムが備わっていないため冷暖房代が割高になります。
快適性も含め、電気代を比較する際は換気システムの電気代だけでなく、冷暖房代を合わせた全体での電気代で考える事が重要です。
戸建におすすめの24時間換気システムはどれ?
どの換気ステムにもメリットとデメリットがあり特徴も異なっているため絶対これがおすすめというのはありません。
自分達が優先していきたいことや生活スタイル、その地域に適した換気方法を選ぶことが大切です。
例えば、アレルギーの病気を抱えている家族がいる家庭や、より快適性を求めたい、自分たちでメンテナンスすることは苦にならないという人は第一種換気でいいと思います。
逆に、自分たちはこまめに管理するのが苦手であったり、暑さや寒さが気にならない地域(人)だったり、予算の確保が難しい場合等は第三種換気を採用しても良いかと考えます。
具体的な導入コストやランニングコストは換気システムの機器や住宅の大きさなどにより異なりますので、詳細な数値は各住宅メーカーの担当者へ質問することをお勧めします。
家族でたくさん話し合い、楽しみながらマイホームの夢を進めていきましょう。